タグ: レーヴ・ウェイクマン1 / 2 ページ
Novelmber2023で創作したブラッディサニーの小…
#Novelmber2023に初めて参加しました!創作(…
主犯格として取調室に閉じ込めた男は、椅子に座らず部屋の隅の壁にもたれている。
捕まえた時そのままに、主犯格の男 アル・シャインをこの部屋に入れる事が出来たのは七日程前だ。
ブラッディサニー猟奇殺人事件とは
とある街にて主犯格アル・シャイン、共犯者レーヴ・ウェイクマンによって起こされた殺人事件である。
一昨年のシスターとのやり取りがあってからアル・シャインは深刻な仕事が重ならない限り孤児院へのプレゼント配りを引き受けることにしていた。シスターから隠れる必要がなく塒に何日も籠る必要もなくなり、変に気を張らなくて良くなった分 仕事量の調整をしながらのんびりと過ごしていた。
塒にしている屋根裏部屋のテーブルで、上に置いたランプに愛用の得物をかざしながらアルが小さく唸る。
仕事を終え一緒に私の部屋に入ってからすぐ、そう言ってレーヴが窓から出ていってしばらく経つ。ドアから入るのに出ていくのは窓からなのは何かこだわりがあるのか、彼の今まで過ごした生活故かもしれない。
「…やはり、炎症をおこしている…か」
右脇腹と右太股にガーゼと包帯が巻かれており、その周囲が赤くなって熱を持っていた。
仕事中に振りだした雨は、事が済み依頼人の待つ酒場へ向かう頃には上がっていた。
「アス! 今年も請けてくれたのかい? 斡旋屋からはあんたに会えなかったって泣きが入ってたから…今年はどうなる事かと不安だったんだよ」
階段から屋根裏部屋へ続く廊下に出た時、屋根裏部屋のドアの前に布の塊を見つけた。近づくとそれは頭からつま先まですっぽり布を纏った人間がドアを背に座り込んでいる様だった。
待ってくれ、と、おそらく紡がれたろう言葉を断ち切るように右手を引く。喉から血を迸らせながら相手が床に沈んでいくのを見下ろして、その命を摘み取った本人は眉間のしわを深くしていた。
「アス、いい所に来てくれた。一つ仕事を頼まれてくれないか。誰も請けたがらないんだが、この仕事をなんとか納めないと俺がこの街に居づらくなる」
「今日はおやすみする?」
既に身支度を整えたレーヴがベッド脇にしゃがんで、まだ起き上がらないアルの顔を覗き込んでいる
不機嫌を眉間のしわや目付きではっきりと示せば大概の輩は恐怖で後退りしそのまま消えてくれるのだが、この女だけは口元の笑みはそのままに一歩私に歩み寄る。
「……物音がしたと思ったら、珍しいこともあるもんだ。アンタがうちに来るなんてね」
酒場のカウンターでグラスの底に残った液体を揺らすアル・シャインの視線はカウンターに置かれたある物に向いていた。
「ねぇ、アル。ハグの日って?」
「……気になるのか?」
「ハグってぎゅっとすること?」
「そうだな。大切な人へ感謝と愛情を込めて抱きしめる日…だそうだが、私には縁遠いものだ」
「あっ、アス。今日はふわふわちゃん一緒じゃないの?」
「アンタが一人でいるの久しぶりなんじゃない」
「これ珍しい林檎仕入れたの、あの子に買って行ってよ」