クリックで画像別タブで開きます (2024/01/13SNS投稿作品)
十代で故郷を出て、修行を兼ねた一人旅を始め、まだまだ手探りな中、野営地で明かす夜は獣ばかりに注意を払っていて人に襲われるなんて少し他人事だと思っていた甘ちゃんの頼武。
月が雲に隠れた闇の中焚いていた火を消され複数人の野盗に夜襲を受ける。からくり刀を人間に振るうことに躊躇う己に唇を噛んで、顔を切られ腕を切られ腹を切られ、死を間近に感じた時、己が介錯してきた獣たちが頭を過り、体の動くままに刀を振るえば、その一振りは野盗のひとりの首を断ち切った。そのまま残りの野盗の命を奪い、その中でまだ息のある者を手当することは勿論無く、雲間から差す月光に照らされるその目の光が消えるのをはぁはぁと息を切らして眺めていた。
その夜はそのまま倒れて気を失っていたが、翌朝、近くの農家が獣の討伐のお礼を持って頼武の野営地を訪れ、怪我をした頼武を自宅へ運び介抱してくれた。
あの夜の襲いかかってきた野盗も、目の前にいる自分を介抱してくれた農家の人も同じ人間であることに複雑な気持ちになる。
痛くて怖くて孤独に恐怖した夜でもあり、人とは、命とは、改めて考えることになった出来事でもある。
「獣も恐ろしいですが、やはり人の方が恐ろしいです」
