
突き破り乗り越えペンを片手に突き進む。
頭を抱え苦しみながら、はたして終にたどり着けるのか、お楽しみいただければ幸いです。
さあ、今年も開幕です。

研究所近くにある浜辺を管理している彼女に皆敬意を示しその髪を美しいと称えるが、その髪に触れる者は少ない。
ごく僅かではあるが…彼女の本来の姿を見たことがある者は近づく事もできなくなるという。

その日珊瑚の状況確認のため潜った場所で唸り声と囁き声が鮮明に耳に届いた。水の中なのに…だ。音を頼りに視線を向けるとゆっくり海底を移動する姿が。
……調査は終いだ、あんなものと関わりを持ってたまるか。

なにか困りごとがおありのご様子だったものでね、思わず声をかけてしまったよ。なぁに、私はしがない探偵まがいさ。相手の素行調査、噂話の裏取りや裏情報の入手、その手の輩との窓口なんでもござれ。
ま、ヒトでなしなんでご利用は計画的に…ね?

『加護は我らにあり!!』
誰とも知れぬ叫び声を合図に皆が一斉に突撃を開始した。

そんな噂話を耳にしたので先輩に聞いてみると、情報が古い…という顔をされてしまった。
「基本彼は無害だよ。かなりまじめな運び屋だからね。ただし邪魔でもして怒らせたら…噂通りになるだろうね」

何かを静かに繰り返し発しながら腕の刃をこすり合わせていた。
断ち切る、という感覚を得た瞬間に飛び起きた。全身に嫌な汗をかいている。アレは私の何を断とうというのか。

どうしてこんな事になっているのか?
俺は人間ではなかったか?
いかほども進まぬうちにどこからか声が聞こえた。
「生前の行いから貴方はその姿となりました。いつか辿り着ける果てにて次への巡りが訪れるでしょう」

「選定者が来ているようですね」
前を歩いていた先生が私に振り返った。
「おそらくこの臭いの濃さから多くの人が選ばれたのでしょう。災害か争いか。なんにせよ葬儀屋に声をかけておいたほうがよさそうです」

呼ばれている者の前には必ず案内が現れるのだそうだ。帰ってきた者がいるのかは怖くて聞けなかった。

「催しのチラシを手渡してもらったらしいんだけど、何か面白そうなものはある?」
『ソうデスネ…』

何に気を付けるべきかは分かるな?
着飾って上機嫌なうちは次を探さないから、しばらくは大丈夫だろう、行くぞ。

『気が散るわい、しずかにしとれ』
「だってもう帳おろさないと」「夜来ないよ~」
『夜空の帳を下す送信機壊したのはどいつだったかのう』
「わざとじゃないもん」「ないもん」
『もう少しだから待っとれ』
「月爺やさしい大好きー」「すきー」

「鼻歌?姐さん上機嫌みたいですね」
計器から視線を上げ、隣のリーダーに視線をやると顔色が悪い
『あまりしっかり聞くなよ…。あれは同意なく軌道上迎撃機に同期さた上に強行打上げした博士への呪詛だからな』
「うへぇ…了解」

小型のカメラを数台設置して数日。データを確認してみると、球根の保管棚にその姿を認めた。冬を越す同胞を見守ってくれていたようだ。

『こンばンワ、貴方イヌ好きですね?このワたしが一緒に住むとしたら大喜びなのでは?」
うわ、喋るよ。…こんな押しかけ前にもあったな
『開けて頂けませンか?ワた─
「結構です」シャッ

「よく行く古本屋で知り合ったお爺さんに託すって押し付けられた」
『ふーん…』
「ハンドサインで会話できそうなんだけどね。手話ではないみたいだから意思疎通はちょっと難しいかも」
『(これ顔だよな、多分話せるんじゃないだろうか…)』

「わ、われわれはカラダにわるいものをさきまわりしてたべちゃうぞダンだ」
「これはとてもカラダにわるいものだ」
「いっしょにたべて、おまえがたべるわるいもののリョウをへらしてやるんだぞー」

「さて、友好的だと良いのだけれどねぇ」

すると老婆の髪が黒くなり体も若返った。それ見た侍が首を刎ねると、髪が恨めしそうに何日もうねり続けたという。

友人の形見の割れた籠手を家族へ届ける前に少しでも形を整えたいと訪ねると、女王は快諾してくれた。
金属に針が触れると熱せられて溶けているようにするっと通り抜けていく。目が離せなかった。

『よるのおちゃかいするひと~?』
様々な凶事を起こした箱は、今はある町の屋敷の蔵に保管されている。毎日人数分のお菓子と飲み物を供え彼らを慰めているが、彼らの恨みが弱まるのにまだ何十年とかかるという。

ここは池の底、貴方は無事入水し沈むことができましたよ。肉の袋が腐りそこから解放されるまではこの翁が話し相手になりましょう。
息をしていた頃は話芸で銭を稼いでおりましたが、ふむ、古典が難しいようでしたら貴方の人生をお聞きしましょうかね

「アレは“虫”だよ。虫の居所が悪い、腹の虫がおさまらないっていうだろう、その虫さ」
「誰の、なんです?」
「秘密~…というか私もそれは開示されていない。“誰の”というよりは“何の”のほうが的確かもしれないね」

親友からの電話が尋常でない様子だったので親友宅へ駆けつけてみると、親友は得体のしれないモノの前で泣き崩れていた。

「どうかしましたか?」
背後からご主人に声をかけられた
『聞きなれない音がして…海岸の様子を見に行きたいのですが』
「今はいけません。貴方を呼んでいるモノが帰ってからにしましょう」

目的?んなもん知らねぇよ。
それで…よ、俺に一生かかっても返せない借金があるお前にこの話を聞かせた意味は…わかるよな?

身体と引換えに外に出してやると提案すると「最後に夕日を見せて」と快諾した彼女は、久しぶりの外の世界にそれは嬉しそうに笑うのだ

短い命から解放されてふらふらしていたら寒くなっちまって。長生きして辛いことしかないなんて困ったもんだよぉ。
「しょくぶつえん」ってところに「おんしつ」ってやつがあるって?是非つれてっとくれ!

卵を抱え孵す役目。孵ったら生かし守る役目。籠の中のものが死に卵に還るまで閉じ込めておく役目
ある日籠の中のものを観察していた仲間が「卵の中に還る」と書き残し自死した
籠の中からでも周りに害があるってことは先に知りたかった
