10月怪物月間, 一次創作ハロウィン怪物月間2019 2020-11-012023-08-22 by moumi 2019年10月1日 プパー♪プパー♪今年も始まりますよ怪物月間! 一昨年の悔しさをバネに完走した昨年に続いて、今年も無事走りきれるか見ものでございますっ 生暖かく見守って頂けますと幸いでございます~ 2019年10月2日 谷底から声がする。言葉は無い。助けを求めるような鳴き声が聞こえる。谷を覗き込もうとした男を連れが止める。 「アレは俺たちの祖先が底に捨てたモノの成れの果てだ。姿を見たら最後、呼ばれて底へ真っ逆さまだ。後ろ髪引かれるなら、その握り飯でも投げ込んどけ」 2019年10月3日 刺さる刺さる抜けない刺さる。見えない言葉の刃は音として身体に響き入ってくる。それが刺されるように痛い。 これは根本から絶つしかない絶つしかない絶つしかない──行っておくれ消しておくれ この影のために傷つけられるが、その者達に牙を剥けるのもこの影のお陰なのだ。 2019年10月4日 子守唄のような風鳴りが聞こえる夜には赤子や幼子が町から消える。心地好い唄に大人は深い眠りに落ち、夜明けまで起きるとこはない。拐われた子供はその身体朽ち頭がもげ落ちるまで大切に捕らえられるという。 人の母親の真似事をする魔物のお話 2019年10月5日 彼らの影響を受けた者は日に日に隙間や影、背後から手に襲われ首を絞められたり身動きできなくなる幻覚を見る様になり、夢と現実の境目が曖昧になる。徐々に「※※※と一体化すれば…」とうわ言を繰り返すようになり、最終的には自分の首を手で絞めて安らかな顔で息を引き取る 2019年10月6日 「うげっなんだあれ」 「珍しい久しぶりに見た」 「は?お前知ってんの?」 「先輩が疲れて寝た時、たまに出て来るんだ」 「何かするのか?」 「先輩に上着とか布団かけたり、部屋の片付けしたり…。俺の部屋で飲んで泥酔して吐いた先輩のゲロの片付けも手伝ってくれたよ」 2019年10月7日 今日は風神様がいらしている。 機嫌が良いのか気持ちの良い風が吹き抜けていく。 色づいた葉を舞わせ、乾いた季節の香りをのせてくる。 踊るように跳ねて空を駆ける姿を見えなくなるまで見送った。 2019年10月8日 晴れを祈りなさい。わたしは陽光の使い。その思いの祈りを力に雨雲を叩き散らしましょう。 ──夢に現れた彼女はそれだけ言って消えた。 翌日は雲ひとつない快晴だった。 2019年10月9日 彼に理性が残っているのか、我々にはそれが大事な問題なのだ。 しかし長年虐げられ続けた彼からは人の言葉が失われてしまっており、行動も獣そのものになってしまっている。 彼に待っているのは保護施設での生活か、研究棟での死か… 2019年10月10日 星の子は夕暮れ時に大忙し。 星描き星撒きかけまわる。夜のカーテン降りるまで、夜空の準備を終わらせる。 終われば次の夕暮れまで、雲のベッドで仲良くおやすみ。 2019年10月11日 種を撒いて廻る精霊がいる。 大地の力を浄化しながら種を生み出し撒いていく。穢れた大地に多く現れるとされ、戦場後では涙のような雫を落としているものもいるという。 彼等の居なくなったあとしばらくして一面緑に覆われる。今も何処かで種を撒いているのだらう。 2019年10月12日 ぐるぐる廻る回る、留まることはなく止まることもない。止まるときは何かが終った時なのだという。 わたしはただ廻る事だけに集中しながらも、止まった時、微かに聞こえる拍手に思いを馳せる 2019年10月13日 寝ない子だれだ、寝られない子はどこだ?柔らかな布で包んであげよう、ふかふかの寝床に運んであげよう。 ここに現世にさよならを、安らかな眠りに逝きましょう 2019年10月14日 冬の報せが来た。 かなり早いので勘違いかと思ったが…こつんこつんと微かな足音をたてて…ひんやりした空気をまとって現れた。 「今年はちいさいですね」 『どうやらはやすぎました…つめたいはこはあいていますか?』 冷凍庫を間借りする宣言に笑みをこぼして、立ち上がった 2019年10月15日 ~我らお砂糖大好きクラブ ブラックコーヒーなんて許さない 今日も今日とてせっせと角砂糖を運ぶ~ 「……」 昨年から住み着いた小人?が無糖の飲み物を飲ませてくれない。徹夜した時に目撃してしまってからはコソコソしなくなった。 そろそろ角砂糖買い足しに行かないとな… 2019年10月16日 妖精の瓶詰めを手に入れた。叩き割ると自由になった妖精が願い事を叶えてくれるとかなんとか… どんな液体に浸けられているのかわからないが、陽の光に照らされると七色に煌めくのだ。よく見ると妖精は微かに透けており、儚げだ。 見飽きるまではこのまま大事にとっておこう。 2019年10月17日 「しゅれてんがぁのねこである。きさまにねどことたべるものをささげさせてやろう。さあさあ」 玄関を開けると見るからにヤバい奴がいた。閉じようとしたドアに無理やり入り込んできて、俺を見上げて話しかけてくるのだ。 いや、もうお前色々と…なんなんだよ……帰ってくれ… 2019年10月18日 「美術室にある女性の石膏像が実はメドゥーサだ──なんて最近噂されているんでしょう?」 そう話しかけてくるのは件の石膏像である彼女だ。真剣にスケッチする私を驚かせようとと本性を現したらしい 見つめられても石にはならないが…スケッチは全く進まなくなってしまった 2019年10月19日 祖父の書斎の本には不思議なものがいくつかある。そのひとつに騎士が夜な夜な抜け出しては月に向かってひざまずくという本。 どうも祖父は彼女(祖父曰く)と話したことがある風な事を言っていたのだが…こっそり覗き見た姿が悲しげで話しかけられないのだ。 2019年10月20日 さて、月末の祭りに向けて準備準備。魔女のババアは起こしたし、博士には作品たちを集めておくようにお願いもした。 ……問題はこいつ。色々となりそこなっているこいつは、昨年の記憶がなく言葉も交わせない。 祭りのルールが守れないかもしれん…被害者が出ないとよいが… 2019年10月21日 雨風ひどいと思ったら嵐の精霊が来てやがった。びゅうびゅう響く風の音に乗ってかすかに唄が聞こえる。 戸締まりをしっかりしないと…歌声の聞こえる夜は寝ずの番になるって親父が言ってたからな…。 2019年10月22日 苔の王を見かけた。苔のマントをまとって、背中には草花が咲く。雨が降れば恵みに歌い、日差しはほどほどに木陰で休む。 暖かい地域へ移動しながら、種を落とし、また新たな植物の種を芽吹かせながらゆく。 2019年10月23日 鳥の声と頬や頭を撫でられる感触のする温かな夢を見る。 最近会う人会う人に「大丈夫か?」と声をかけられる事が増えた。思えばあの夢を見始めてからだ。 寝るのが気持ちよく、今も帰って眠ることしか考えられない。あの沈み混むような心地よさに抱かれたいのだ。 2019年10月24日 研究所の資料室から物音がして覗きに行くと、見知らぬモノを見つけた。漁師に高値で博士に売られたのだそうだ。腹の傷はと問うと、本当に不死になれるのか実験したいと中身を幾らか摘出されたらしい。結果を聞けば「まだ事例が足りないそうよ。わたしの臓器の回復待ちなの。」 2019年10月25日 何の恨みを買ったのか、魂を捕らえられた私は毎夜現れるソレに何が望みなのか問いかけるも返ってくるのは沈黙のみ。 ソレは現れる度に口が閉まっていっている気がする。調べても似たような事象の話はなくお手上げの状況だ。 もしかしたら…既に逃れる術はないのかもしれない。 2019年10月26日 「博士、あれは?」 「よくぞ聞いてくれた。電気と星屑、鉄を掛け合わせたゴーレムだよ。研究所の警備をしてもらおうと思って」 「あれは敵味方の区別はつくのか?」 「実は魂を練り混んであるから言うことを聞くようにしてあるよ」 「いつもそうやって襲われてんだろうが…」 2019年10月27日 おや、こんばんは。こんな所まで何をお探しで?ほう…あちら側へ行きたいと…。お連れする事は出来ますが帰りの心配は…ハハッ、もう帰る気はないと、だから私に声をかけたと。なかなか面白いモノを抱えた方だ。 では参りましょう。なぁにすぐそこにあるんですよ、あちら側は 2019年10月28日 DEAD OR MONEY!!殺されたくなかったら出すもんだしな!! ………えっ、「Trick or Treat いたずらされたくなかったらお菓子をよこせ」っていうのが正しい?いや、だって、あれだろ、合法的に金を巻き上げて良い日だって聞いたぜ?……そんなことはない?……なんてこった 2019年10月29日 今日も云い材料が獲れたねェ。 この木偶に替えてから本当に調子がいい。技師に高い材料積んで頼んだ甲斐があったってもんだ。 戦場に来て非道にもなれず絶望してたら木偶にもすがりたくなるか…まあ博士の所でまた悲鳴をあげることになるだろうから、いまは木偶の胸でお眠り 2019年10月30日 「お前は祭りに呼んでないぞ?」 扉から入り込んできた水晶蜥蜴から白の魔女が現れた。 『いいじゃないか、少しの酒と食事を頂く位は…さ』 白いからって真っ当な奴じゃない。 不自然なほど良い奴装ってる奴はその実反対に飛び抜けて真っ黒なのさ。 こいつはそれの最たる例。 Happy Halloween ⇒ 創作 TOP → YELLOW PILLOWS TOP ハロウィン怪物月間