『ブラッディサニー組』とは。
Twitterの診断メーカーの診断結果をもとに始まった、
はちすさん(@hati_su8)との共同創作です。

登場人物であるアル・シャインに関してはこちら
相方として登場するレーヴ・ウェイクマンさんは、はちすさん(@hati_su8)の創作されたキャラクターです。

この小話は2021年9月に発行したまとめ本「BLOODY SUNNY From 2015 to 2021」のweb掲載版となります。
掲載順も本と同様となります。


── Interlude 04

陽が東の地平線から離れた頃、大家の制止を振り切り、アパートの屋根裏部屋へ向かう男が一人。
「ん?」
階段から屋根裏部屋へ続く廊下に出た時、屋根裏部屋のドアの前に布の塊を見つけた。近づくとそれは頭からつま先まですっぽり布を纏った人間がドアを背に座り込んでいる様だった。
「誰だか知らないが。そこを退いてくれ」
「だめ」
身動きせず返ってきたのは拒否の言葉だった。
「アスの仲間か? わたしは昨日まで昼間の仕事を奴に頼んでいた者だ。事情が変わり今日も頼みたい」
「だめ」
「何故だ?」
返ってきた同じ言葉に男の声が大きくなる。
「最近ずっと暗い時眠ってたから、だめ」
「夜ちゃんと寝ているなら問題ないだろう? 退くんだ」
男の言葉に布を纏った人物がゆらゆらと立ち上がる。
「…だめだって言ってるのに、やって大丈夫かな? アル怒るかな…」
「何をぶつぶつと言っているんだ、早くそこを──」
ガチャ…
「あんたか…」
男が詰め寄ろうとした時、ドアが開き部屋の主アル・シャインが姿を見せた。ヘッドギアは外しており、上半身は何も纏っていない就寝時の格好だった。眉間にしわが寄っていて、明らかに不機嫌な様子が見て取れる。
「ああ、アス。事情が変わった。今日も」
「今夜大事な依頼を既に受けている」
言葉を被せ断ったアルの言葉に、男の顔が固まる。
「そ、それは幾らなんだ? その3倍は出す! だから」
引き下がらない男にアルが一歩近づく。
「何故大家があんたを止めようとしたのか分かってないみたいだな」
「ひっ」
始めから付けていたのか、右手には愛用の金属製の爪が光り、それが今、男の喉に向けられている。
「…昼間来る奴は生きて建物を出ていけないからだ。……どうする?私は構わないが」
「わ、わかった。ほ、他を当たる、よ」
アルがゆっくり爪をひいた事を確認して、男は転げる様に階段を降りていった。

男の足音が聞こえなくなった頃、ズボンを軽くつまんで引かれ、アルが傍らで大人しくしていた布を纏ったレーヴに視線を落とす。
「どうした?」
「今夜は仕事無いって」
「無い。気が向いたら酒場には行く」
そう言って、頭を掻き、アルがレーヴに向き直った。
「アル?」
おもむろにレーヴの頭に手をのせ、軽くぽんぽんと撫ぜながら、アルが欠伸を噛み殺した。
「…寝る。今日は帰るか? どうする?」
「んー、眠ってく」

ふにゃっとフードの下で笑ったレーヴを先に部屋へ入れると、アルは部屋のドアを静かに閉めた。

【「ありがとう」の代わりに】


唯一の楽しみを取り上げられても

茶を飲み一息つく何でもない時間が
物思いに耽る時間に変わっても

闇夜では物音を消してくれる

気配をより気付かれにくくしてくれる

血と臭いを洗い流しくれる

部屋に戻り、シャワーを浴びて
ベッドに倒れ込んで雨音を聞いていると
何故だか落ち着いて眠りにおちる事が出来る

雨は、嫌いではない

【雨に砕かれ融ける様に】

End.

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